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爽快倶楽部編集部


2015.11.1
ぶらタモリ
NHKの番組に「ぶらタモリ」というのがある。テレビタレントであるタモリと女性アナウンサーが、全国各地の地理や歴史を、その土地の郷土学芸員や専門家の案内で訪ねる郷土紹介番組である。ここには、いわゆる旅番組で紹介されるグルメや温泉などは、ほとんど出てこない。その土地ぬ住む人でさへ、普段なにげなく通りすぎていく町や村の風景のなかにあるかくされた話題を掘り起こし、それを紹介する。いわば雑学の旅、そういった内容の番組である。これが、面白い。およそ話題にものぼらない事柄を、タモリは、実に面白おかしく見、聞き、そして自分の言葉で解説する。その話術は見事であり、いつのまにか彼の世界観に引きこまれる。彼を見ていると、タモリという男は、博識であるとか、そうかた苦しくいわないまでも、雑学における好奇心のかたまりのように見える。風貌は70歳の男、相応であり、まさに初老の男そのものであるが、その好奇心旺盛の精神から見えるのは、少年のまなざしにも似る。全国各地を番組撮影のために歩きまわるのは、体力的にもつらいことはあろうが、番組に出てくる彼の姿は、実にまるで少年のように初々しい。

人は老いて、残りの人生の年数を考え始めたとき、自分がいかに生きたか、残された日々をいかに生きるかを考える時間を持つことがある。若いときに夢見た自分になっていないことに後悔する、あるいは、老いた自分に残された自由の可能性の少なさに悲嘆することがあるかもしれない。が、仮にいかなる人生であったか、そしていかなる現在であるかは別にして、少年の心持ち続けている限り、これからの人生において未来は輝くはずである。
最後に、この番組に登場する女性アナウンサーが、じつに聞き上手である。タモリからさまざまな好奇心を引き出す。この意味で、彼女の清々しい笑顔の存在は、けっして小さくない。「ぶらタモリ」、ひさびさに楽しいと思える番組である。




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