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爽快倶楽部編集部


The Times They Are a-Changin
時代は変わる
2012.4.1
戦後の国債発行の歴史を見ると昭和40年に1972億円を発行し、当初国債費として220億円を計上している。一般会計に対する割合は、約0.6%となっている。それから毎年国債発行が続いて今や1000兆円を超えるほどになった。素朴な疑問がある。ひとつは国債を発行せずに国の予算をまかなっていた時代があるということ、もうひとつは国債を発行していったい何に使ったかである。その詳細は政府統計にまかせるが、天文学的な国の借金と、税収が不足しているといわれる現在、いったいどうすればこの借金地獄から抜け出すことができるかを考えてみた。

一番単純な方法は、国債発行残高に見合う分を税として国民から徴収することである。この方法で行くと、仮に1000兆円の借金に対して1億2000万人の総人口で割ると、一人あたりおよそ830万円の税を納める必要が出てくる。10年に分割すれば1年当たり83万円、100年で分割すれば8万3千円である。これにはもちろん金利を含んでいない。この単純な計算を見ても、国の財政が非常に深刻な状態にあることがわかる。

さて、こうした机上の空論は別にして、日本の戦後の経済情勢をみるとおおよそ3つに分けられる。戦後の復興期、経済成長期、低成長経済安定期である。国債発行は、本来最も必要であったはずの復興期ではなく、経済成長期に始まっている。経済が成長している時であれば、税収は増え続け借金を返せる目算があったと思われる。が、低成長経済安定期においても国債発行は続けられ、およそ返せる目算がないときにこそ発行額も増大している。これが膨大な国債発行残高となった原因である。

国の借金を減らすにはある程度の増税は避けられまい。だが、国債発行を前提とした国の予算編成をしている間は決して残高は減らない。借金を返すために借金を繰り返す、ある意味でサラ金地獄と同じだからである。

我々は、まずは時代が変わったということの認識を持つべきである。それにはただ単に無駄を削るということだけでは済まない。発行した国債を何に使っているのかを含め、予算を徹底的に組み替えることから始めれる必要がある。これには省庁及び地方自治体を含む行政全体の構造改革が必要である。大きな政府から小さな政府への転換である。小さな政府といっても社会保障を削るわけではない。肥大化した行政機構の縮小である。理想は国債発行なしで予算を組むことである。
国の総予算、およそ200兆円を組み替えてご覧なさい。10%を組み替えるだけで20兆円、これだけあれば増税をする必要などまったくない。これができる政治家はいないだろうか?
編集主幹 伊藤秀雄




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