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老い |
2012.3.1 |
たまに自分の手の甲を見て愕然とすることがある。皺が年々増えているのがわかる。赤子はもちろんだが、若い人達の手はぷっくりとしてみずみずしい。気持ちの上ではまだまだ老いてはいないと思っているが、現実を見せられれば、まるで頭を殴られたような気になる。体の老いは手ばかりではない。若い頃は、ちょっとしたことで体重移動をしても片足で十分体を支えることができた。それが今では、よろめく感じがする。老いは確実に体の中で進んでいる。もちろん、これが人として生まれた限りの宿命だとはわかっているが、そうだとしても情けない気持ちになる。
恐らくは、ほとんどの人間が老いの中でそうしたことを感じるのだと思う。そしてその先に来る死、この逃れようもない現実を前にして、心の準備をするのだと思う。それは十分生きたことへの満足なのか、取り返しのつかない過ぎた時間への後悔なのか、あるいは天命としての悟りなのか人それぞれであろう。
自分にとって老いとは何か、その答えをまだ見出せないでいる。 |
編集主幹 伊藤秀雄 |
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