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爽快倶楽部編集部


平成23年8月1日
ニヒリズム
3月の東北大震災は、あまりに重く大きなものを我々に突きつけた。自然の猛威の前では人間は無力である。人は、なすすべを持たなかった。海が盛り上がり、強大な波となって家々、人、車を呑み込み、船を押し流した。それはゆっくりだが確実に行われた。福島の原子力発電所は、地震で機能を停止し、さらに巨大な津波によってコントロールを失い、かって経験したことがない広範囲に放射能を放出した。その結果、東北および関東の広い地域が汚染された。この汚染はおよそ4ヶ月たった今も現実としてあり、おそらく数十年、数百年単位で継続すると云われる。我々は汚れなき国土を一瞬にして失ったのである。
この事実を前にして、未だに自然の猛威と対峙しうると考えている人が多数いるのが不思議である。今回の地震で日本列島全体が太平洋側に数メートル移動したといわれるが、人間がいかなる装置を作ろうとも、日本列島全体を動かすことなどできない。自然の力は、言い換えれば地球の力は人間の想像を超えて存在する。
阪神淡路大震災から、わずか16年で、この事態が起きた。再び同様の事態が、日本のどこかで起きる可能性は皆無ではない。むしろ地震活動の活発期に入ったとしてその確率はさらに高まっている。
こうした状況下にあって、我々は、再び来るであろう自然の猛威に、いかなる心得をすべきか、何ができるか、何をなすべきか、考え直すときが来ている。
今、国民は、大地震、原発事故に打ちひしがれ、同時に無為なる政治に失望し、何も信ずべきものを持たない。頼るべき国家に見捨てられ、その憤怒を抱えながら沈黙する他はない。この虚無感が生み出すものは何なのか。ニヒリズムが生み出すものは、テロリズムとなり、やがてファシズムとなる。
生み出されたものが化け物にならぬように願う。
爽快倶楽部 編集長 伊藤秀雄




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