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爽快倶楽部編集部


平成22年 12月1日
戦争と平和
11月の編集後記を休んでしまった。何度か書こうと思ったが思うように筆が進まなかった。この後記をどれほどの方が読んでおられるのか知らないが、申し訳なく思っている。

先日、北朝鮮が韓国の領土に対して砲撃を行った。この事態について世界は意外と冷静であったような気がする。韓国と北朝鮮は本来戦争状態であって、現在は単に休戦下にあるに過ぎない。これはかっての中国、米国を巻き込んでの朝鮮戦争以来のことである。この意味では、米国と中国は、朝鮮半島を巡っては休戦状態にあるともいえる。米国が中近東諸国とちがって北朝鮮に対して軍事行動をとらない背景には、この中国問題がある。日本に存在する米軍基地は、戦後冷戦時代においては旧ソビエト及びその影響国に対するものとして主に機能した。が、今は明確に、中国の拡大する軍備に対して存在する。
表面上は、米国及び日本は、北朝鮮に対する中国の影響を期待するが、朝鮮戦争を考えれば、中国は北朝鮮の同盟国であり、北朝鮮による半島統一、軍事的南下を支持するのであり、北朝鮮の核武装もこの支持によって成り立ったと云える。
この極東情勢の中にあって、日本はいかなる道を進むべきか。日本国憲法第九条を持ち出すべくもなく、戦争は、日本にとって最大の禁忌である。太平洋戦争、被爆、敗戦の歴史が、そうさせる。実際、戦後65年間、日本はいかなる国とも戦争状態に入らず、戦争を目的として自衛隊を海外に派遣してこなかった。これを平和と云うなら正しく平和の戦後である。が、この平和がいかにして守られてきたかを問えば、極東地域における米軍の駐在による情勢安定を考えに入れないわけにはいかない。これは、現代においてもなお、平和は軍によってしか維持できないことを意味する。
今後、朝鮮半島情勢がどのように展開して行くのか、誰も知らない。多くの識者が云うであろう「常識では」という考えが、戦前の日本が圧倒的に軍備が劣っているにもかかわらず、太平洋戦争に突入したことを思えば、ときに覆されるは容易に想像できる。
日本は、朝鮮半島有事の際には、中東におけるように決して傍観者ではいられない。自らの意思にかかわらず、同盟国である米国の軍事行動と一体となる。これを避けることが、国家としての最大の目標だが、有事となったときの軍事行動は準備しておかなければならない。砲弾は法律が許すか許さぬか関係なく飛んでくる。

クラウゼヴィッツは、「戦争論」において、「戦略」「戦術」「兵站」を説く。ここには感情の入る余地はない。
平和は軍によってのみ保たれる、この事実から目をそむけることはもうできない。
爽快倶楽部 編集長 伊藤秀雄




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