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爽快倶楽部編集部


平成21年3月1日
捲土重来
今月も再び、中国故事から話題をとりたい。
晩唐の詩人、 杜牧 の「 烏江亭 に題す」に

勝敗は兵家も期すべからず
羞を包み恥を忍ぶはこれ男児
江東の子弟才俊多し
捲土重来いまだ知るべからず

というのがある。捲土重来、敗者が一度引き下がって勢いを盛り返し、意気込んで襲来することである。
戦後、一貫して保守勢力として国政を担ってきた自民党が崩壊の危機にある。戦後の混乱期、復興、高度成長、オイルショック、バブル崩壊をくぐり抜け、日本に政治的、社会的、軍事的安定をもたらしてきた自民党の足跡を見れば、自民党こそ政権能力を持った唯一の党であったことは疑いもない。今、その政権能力が問われている。福田、安倍内閣と続いて政権を投げ出し、現麻生政権においては、その支持率が10%程度に落込んだ。過去も、こうした危機はあった。が、自民党はその危機を乗り越えてここまで来た。その原動力はおそらく、自民党を支え、同時に党によって育てられて人材によるものである。

小泉政権以降、自民党総裁は選挙に勝てる顔、それを第一義として選ばれてきたが、そこで選ばれた総裁、総理には、それ以前の吉田、岸、池田、佐藤、田中、中曽根が持っていた国家観と政治思想がない。ソビエト崩壊によって世界が大きく変化したことによるイデオロギー喪失もその理由かもしれない。だが、国家観と政治思想は個人の精神性の問題である。少なくとも、福田、安倍、麻生三氏に国を代表する者としての精神性を見ることはできない。他の閣僚も又同様である。一方で、自民党政権と二人三脚で国政を支えてきた官僚にも同じことが言える。

今、麻生政権は麻生氏本人の資質及び政権保持に腐心するあまり、本来の政治を見失っている。それによって国民の支持を失う結果となっている。現政権がこれを取り返すことは至難であろう。ならば、敢えて自ら荊の道の道を選び、党としての、政治家としての国家観、政治理想を作り直すことも、決して無意味なことではあるまい。仮に、現野党に政権を渡したとしても、永くは続くまい。いかなる政権も長期にわたれば腐敗は必ず起こり、やがて民意を問う総選挙となる。そのときにこそ、新生自民党の旗を掲げ、捲土重来の時である。
あえて、自民党諸氏に云う、野に下りたまえと。
爽快倶楽部 編集長 伊藤秀雄




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