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爽快倶楽部編集部


平成19年9月1日
真なる改革者
先の参議院選挙惨敗を受けて、自民党はその敗因を、年金問題対応の誤り、政治と金、内閣の危機管理能力の欠如と総括した。はたしてその通りであろうか?
有権者が自民党を離れ、その多くが小沢党首が率いる民主党に投票したのは事実である。特に一人区と呼ばれる地方においての惨敗が著しい。また、浮動票と呼ばれる比例区においても無党派層の支持を勝ち取ることができなかった。
地方における敗因は明らかだ。小泉時代に行った地方自治体に対する三位一体の改革が、地方への財源、権限の移譲と言いながら、その実態として、事実上中央官庁の財源確保と権限を継続する形となっている。その結果、中央と地方の格差がかってないほどに拡大し、地方の惨憺たる疲弊を生み出している。その格差解消を行う手段として、地方税の振り替えに過ぎないふるさと税などで問題解消をしようとしているが、中央官庁の財源の温存はそのままである。地方の生活者、農村、漁村、商工業はこの改革によって完全に切り捨てられ、地方経済の落ち込みによる雇用の衰退、生活の最低限の要件である医療の荒廃など、それらに対して地方の有権者はノーを突きつけたのである。
比例区においての敗因は年金不信、政治と金の問題はあろうが、上記三位一体の政策の結果として、実質的地方税、国民年金保険料が上がったことが最大の問題であろうと思う。小泉−安倍内閣は国−地方税源移譲において所得税の定率減税を廃止した。それが実質的な税と保険料の増加となっり、所得税と地方税、国民年金保険料の相殺で家庭の支出は実施的にプラスマイナス・ゼロと言ってきたことの虚言が暴露され、このことによっても自民党政府は不信を招いた。
小泉内閣以降、安倍内閣においても改革実行の内閣と言い続けてきたが、その改革が国民のための改革ではなく、役人のための改革であったことを国民は気付き始めている、これが今回の自民党惨敗の最大の要因である。国民は誰もが改革を望んでいる、だから改革を旗印にした小泉内閣を当初支持したのである。だが、ここに至って、その改革が、実はすべて官僚主導の官僚のための改革であったことが明らかになりつつある。国民は馬鹿ではない。自分の給与明細を見れば、閑散として人影もまばらな商店街を見れば、医師のいない地方の病院を見れば、小泉−安倍内閣の改革によって何が起きているのか、その改革が国民のためのものであったのか否かはすぐに見抜く。
戦後レジュームの転換ということを目標に掲げるのは結構なことである。だが、官邸、国会よりもより大きな権限を持ち行政を支配する官僚政治体制を改革することこそ、今の日本に一番問われていることではないのか、国民は真なる改革者を求めていることに変わりはない。
爽快倶楽部編集長 伊藤秀雄




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