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爽快倶楽部編集部


平成19年6月1日
勝者の驕り
 ここ数ヶ月、安倍自民党内閣の動きを振り返って見れば、小泉時代に残された圧倒的多数与党の驕りが見える。各法案のほとんどが与党のみの強行採決で衆議院で可決される。その全てが悪いと言うわけではないが、少なくとも憲法改正のための国民投票法案、教育基本法改正法案、社会保険庁再編法案、米軍再編法案、天下り規制法案など重要な法案は論議を尽くすべきであろうと思う。これらのどの法案をとってみても、どこかしらに拙速としかいいようのないほころびが見える。
 国民投票法案においてはその賛否成立のための最低投票率を定めぬままという、あきれた内容である。極端に言えば投票者が3人しかいない場合、二人が賛成すれば憲法改正は行えるという愚法である。メディアの論評にはあまり上がらぬが、米軍再編問題は、日本の国際的立場を左右する大きな問題である。現在、中国は北京オリンピック、上海万博を控え、その経済成長には目を見張るものがある。同時に、中国人民軍の軍備はかってなかったほどに強大になりつつある。すべては、台湾独立阻止、併合というシナリオの中にある。米軍が最も恐れる有事とは、北朝鮮の核軍備などではない。北朝鮮は放っておけばやがて自滅する。むしろ中国軍が台湾へ侵攻した場合こそが米国にとっての最大の関心事であり、その有事において日本の自衛隊の軍事力を必要とする。だからこそ、米軍再編法案は、憲法改正、集団的自衛権行使の論議とワンセットとしてすすめられている。これだけのことを、真に国民に問わずいかに採決できるのであろうか。
 社会保険庁再編法案について言えば、その業務の一部を民営化するといううが、保険料徴収は国税局に任せるという、即ち、税と同じように強制的に徴収し財源の安定化を図ろうとする、役人のやりくちそのものである。現在表面化している5000万件以上にも及ぶ保険料納付記録の喪失について、安倍政権はなんらかの救済措置法案を今国会中に上程するというが、そもそも救済という文言そのものがおごりでなくて何であろうか。国民は真面目に働き、真面目に保険料を納付してきた。その記録を失った非は、国民に一切あろうはずがない。保険料納付の証明は、社会保険庁自身が行うべきものである。これは、銀行や郵便局が通帳を発行することと同じである。
 一方、政権をとって変わるべき存在として登場した小沢民主党から、明確な内政、外交政策が聞こえてこない。格差問題を挙げるのはよかろう。が、これからの高齢化社会において、その生活基盤となる社会保険改革、国家の存亡につながる米軍再編法案、有事の時の国家的対応、国の将来を託す子供たちへの教育、やがて起こるであろう消費税率値上げなど、具体的な政策が見えない。
 最近、改革という言葉が聞こえてこなくなった。かっての小泉自民党が行った改革とは、役人による役人のためのニセの改革である。その改革を継承するという今回の天下り規制法案にしてもしかり、社会保険庁解体法案もしかり、そのどこに改革があるのか。財政再建であるならば、特別会計廃止、社会保険一元化、公務員給与の見直し、行政改革であるならば、天下り一切禁止など、今、国民が望むのは、国民のための真の改革である。
 真の改革者よ、現れよ。
爽快倶楽部編集長 伊藤秀雄




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