TOP>コラム


爽快倶楽部編集部


平成19年1月1日
さて、今年はどうなるのやら?
 新年明けましておめでとうございます。
本年も爽快倶楽部をよろしくお願い申し上げます。
 世はかってのいざなぎ景気を越えて好景気の真っ只中にあるという。企業利益を見れば各業界で史上最高益を更新している企業が見える。だが、庶民にとっては豊かさの実感がない。好景気にもかかわらず、消費は落ち込んだままである。企業利益が庶民の懐に入っていないのだ。では、その利益はどこへいったか。設備投資、事業拡大、株主への還元、内部留保の拡大である。

 昨年、1月、松の内の開けた16日に東京地検によりライブドアが家宅捜査を受ける。23日には堀江貴文代表取締役、財務担当の宮内亮治取締役などが逮捕される。ITの寵児と言われ、前年の郵政解散衆院選では、前幹事長武部氏が堀江を我が息子≠ニ上げへつらった男の頂点であった。さらに6月の村上ファンド代表者である村上世彰の逮捕がなされた。金の力によって次々と株買占めや企業買収を行い、それにより自社株価をつり上げ、資産を拡大してくというM&A手法に多くの企業がおびえた。法に触れなければ何をやってもいい、そこには自分の会社さえ大きくし利益拡大を行うエゴイズムしか存在しない。そうした風潮を煽った経済政策と理念なき改革という名の政治に対する検察からの警告となった。だが、どちらにしても、このM&A野放し状態は改善されたわけではない。力のあるものだけが生き残る、だからこそ、企業は利益を自己防衛に充当し、社員の手に渡すことができないのだ。考えてみれば、この企業最高益は徹底したリストラという人件費の削減によってもたらされた。数年前、ニッサンがカルロス・ゴーン社長を迎えて積年の赤字を解消するどころか、短期間に黒字経営に転換させた。世はかれの手腕をを誉めそやした。だが、利益はバランスシート上の問題である。非採算部門をリストラする、利益を出せる事業だけで再構成する、下請け業者からの仕入れで徹底したコスト削減を行う、。そうすれば誰がやっても利益は出せる。企業が力を付け、本当に良い商品が市場で売れたわけではないのだ。他の多くの高収益企業がこの道をを通ってきた。

 昨年も言ってきたが、歳出とはまったく関係のない郵政民営化など、改革という名を借りた茶番を改革の第一歩とした小泉内閣の空疎な改革の看板の裏側で、未曾有なゼロ金利政策が行われ、あるいは多くの規制緩和が行われ、景気回復政策が行われた。安倍内閣は、これらを継承しつつさらに景気拡大策を推進するという。この裏には財務省のよる税収拡大策が見え隠れする。この好景気によって税収は増えた。来年度予算では国債発行高が削減された。もう国民から借金はできまいということであろうが、国は税収だけがあがればよいという考え方である。企業にひたすら利益を上げさせ、庶民の生活などはどうでもいいことなのだ。そして、足らない分を庶民に対する増税でまかなう。これが、庶民が感じる豊さの実感のない原因である。

 現在、非正規社員が増加している。その結果、年収200万以下の若年層が増加している。年金生活者の暮らしが年々苦しくなっている。企業が最高益を挙げている背後にこういう実態がある。これでは社会保障制度も成り立たぬであろう。また、少子化に対しても歯止めはかからぬだろう。人々の心は生活に窮するあまりさらに荒廃するだろう。本当に必要な改革とは、小さな予算で、小さな政府を作り上げることであり、庶民の所得水準を上げることである。
 これからの一年、安倍内閣の本当の改革を見て行きたいと思う。
爽快倶楽部編集長 伊藤秀雄




TOP>コラム



Copyright 爽快倶楽部