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爽快倶楽部編集部


平成17年3月1日
裁判員制度について
 平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)が成立し、公布の日(平成16年5月28日)から5年以内に裁判員制度が実施される。裁判員制度とは,国民が裁判員として刑事裁判に参加し被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度であり、我々の誰もが裁判員になる可能性がある。

 裁判員制度の対象となる事件は
1.人を殺した場合(殺人)
2.強盗が,人にけがをさせ,あるいは,死亡させてしまった場合 (強盗致死傷)
3.人にけがをさせ,死亡させてしまった場合(傷害致死)
4.泥酔した状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させてしまった場合(危険運転致死)
5.人の住む家に放火した場合(現住建造物等放火)
6.身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
7.子供に食事を与えず,放置したため死亡してしまった場合(保護責任者遺棄致死)
とされる。

 多くの人が、法廷を舞台とした小説やテレビドラマ、あるいは映画などを見たことがあると思う。その時の感じ方は人それぞれではあろうが、概ね正義が踏みにじられることに義憤を覚え、やがて悪が露呈し糾弾されることに喝采を送るのが常だと思う。フィクションの世界では、およそ結果が約束されている。だが、実際の裁判では最初から約束された結果などはありはしない。法廷に提出された証拠や被告による自白の信憑性を精査しその真偽を判断しなければならない。事件を起こしたとされる被告の様々な事情も勘案しなければならない。およそ物事が起きるには原因があり、それぞれの事件にはなんらかの動機がある。その動機がいかなるものであるのか、量刑を軽減するべき事情があるか否か、或いは厳罰を以ってしか臨み得ないものなのかを判断しなければならない。その判断は恐らくは被告の一生を左右するだろう。そして、判断したものとして判決宣告に立ち会わなければならない。判断の責任は果てしなく重い。人を裁くとは、裁く罪の重さと同等の責任を負うことに他ならない。
 果たして、私達はそうした判断が出来るだろうか?私達に負わされた課題である。

 ところで、この裁判員制度について一言を呈したいと思う。この裁判員制度の対象となる事件は個人が起こしたもの限られている。何故、国や地方自治体などが被告となる事案が含まれていないのだろうか?過去、多くの訴訟が国や地方自治体を相手として起こされてきた。憲法問題、公害問題、医療問題、公共事業など、本来国民の常識によって判断されるべき事案がなぜ含まれていないのだろうか?今後の課題というべきだろう。

裁判員制度に関する情報源:
あなたも裁判員! (法務省)
裁判員制度について
(最高裁判所)
司法制度改革推進本部 - 裁判員制度・刑事検討会 (首相官邸)
裁判員制度Q&A〜もしもあなたが裁くなら(名古屋弁護士会)
裁判員制度コーナー(日本弁護士連合会)
市民の裁判員制度つくろう会(市民の裁判員制度・つくろう会)
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